2010年7月22日木曜日

暑い盛りにあるいた


 突然、梅雨があけて、いきなり夏に放り出されたようなこの数日。PTAのお届けもので小学校へ行かなければならないので、ついでに高校に置きっぱなしになっている自転車も取りにいこうと思った。高校のPTAの集まりの後、そのまま、環境健全化キャンペーンに駆り出され、そのまま暑気払いにくりだし、そのまま2次会のカラオケにいって、戻ってきた時にはもうとっくに高校の門は閉まっていて、そのまま、連休に入ってしまったので、もちろん自転車もそのままだったのだ。で、いくら何でもそのままの連続は文章的にもまずいので、取りにいこうと思ったのだ。暑いけど。熱中症でばたばた人が倒れているらしいので、水筒にブドウ糖入りのアイスコーヒーをいれ、ハンチングをかぶった。

 まずは小学校について、2枚のA4をつなげてA3のポスターを作る。ポタポタ、汗がポスターに垂れる。用事その①終わり。さあ、そこから高校まで、約20分の歩行が実に大変だった。夏の道でよく目につくのがひからびたミミズだ。なぜわざわざ、ひんやりした土中から、やけたアスファルトにのり出そうと考えるのか、まったくわからないが、当然、行き倒れて、からからの日干しになってしまう。「ミミズが『ミ、ミズ〜…』」というのは、僕が高校の時に思いついて、ごジャレのネタにもしたダジャレだが、まさに実際ミミズが口にしているであろう言葉だ。日陰の一つもない直線路をヨタヨタ歩いていると、人間もミミズも、なんのかわりもない。距離的な近さよりも、なるだけ陽の当たらない道を選んで行く。こういう時、GPSは便利だ。知らない道でも、地図でどこへでるかわかるので、いままで農作業用の小道だと思っていた隘路がちゃんとした道だとわかったりする。すずしい木陰の小道を下っていくと、木陰はすぐに終わってしまったが畑にラベンダーが咲いていた。

 高校にようやく着いた。自転車に乗って帰ることができる。だが、帰りはのぼりが多くて、自転車でもたいして楽ではない。自転車を押しながら坂を上っていく。また、ポタポタと汗がアスファルトに落ちる。街はどこも陽に灼かれて、すっかり熱くなっている。自転車のハンドルもサドルも熱い。道路も熱い。家々の屋根も熱そうだ。汗が目に入って景色がかすむ。既に飲んだアイスコーヒーの倍は汗をかいているが、飲み物自体はタプンタプンと胃の中でゆれて体を重くしている。熱中症も人ごととは思えなくなってくる。あらためて、太陽光というのは実に大変なエネルギーではないか。この膨大なパワーから逃れるために、ムリをして自前のエネルギーを地球から絞り出して、豪雨を百均の傘でしのぐように、熱さをエアコンでしのいでいるのだ。人類のこれからの全存在期間をもってしても使い尽くせないほどのエネルギーの塊が頭上に釣り下がっているのに、わざわざ、何億年もかけてつくられた化石燃料を掘り起こし、そのために不幸になったり成り上がったり、殺したり殺されたりしているのだ。賢い人、偉い人は確かにいる。けれど、「人類」は、けっして、賢くはないし偉くも何ともない。人類という気のふれたサルたちは、不幸な他のいきものを道連れにして、灼けたアスファルトの上に自らを放り出してしまったのだ。

 歩くのと汗をかくのに体力を使い果たし、熱中症になりかけ、約1時間の外出を終えて、ようやく家に帰り着いた。