コーヒーを買い、一宮御坂で高速を降りた。夜のドライブは町の灯りにも旅愁を感じるものだ。高速から見下ろすあの家々の窓の一つ一つにそれぞれの人生があるのだ。それはいったいどんな日々であろうか。一般道で石和を抜け、小一時間ほど走ると、10時少し前に宿泊先の甲府Pホテルに着いた。ワークショップ関係で泊まった中でも一二を争う寂れた宿だ。ベッドサイドにおかれたキャビネットは、おそらくタイマー付きの時計が壊れ、修理されないまま「故障中」の張り紙をされて放置され、今はその張り紙さえ失われ、正体が判然としないのを幸いと開き直って、備品でございますと居座っている。旅愁ここに極まれり。

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